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1型糖尿病発覚前(去年のこと)☆その3 [糖尿病・身体のこと]

2004年8月11日。水曜日。Xデー当日。

  この日は朝からだるいのはわかっていた、という感じ。
  職場にも昨日のうちから、明日は休みますと言ってきていた。
  もらった薬を飲んだ。今日の夕方には楽になると思っていた。
  彼氏に出かける前に「アミノバリュー」と「ポカリスウェット」を買ってきて欲しいと頼む。
  昨日から、水では夏バテするから、こういうのがいいと言われていた。
  だからか、水はあまり飲まなかったような気がする。
  糖尿病患者にとって、この手の飲み物は一番避けたいものだと思う。
  ましてや、高血糖のときに飲むなんて、自殺行為だ。

  でも、そのとき、そんなことになっているなんて、
  周りの誰も、知らなかった。
  私自身も。
  そして、病院の先生さえも。

  もう、なにも食べる気がしなかった。
  というか、食べたい欲求だけはあるのに、
  食べても、食べても、これが欲しかったんじゃない!
  って感じで、身体に入っていかない。
  元々、身体が欲しがっているものを食べたいと思うほうなので、
  これには困ったと思っていた。ここ何日かはずっとそう。
  身体は明らかに違うものを欲しがっているのだが、
  それがわからないのだ。

  私、どうしちゃったんだろう?

  そうこうしているうちに、
  トイレに行くも、出ない、もしくは出にくいという状況になった。
  尿意はあるのに、お小水がまるで出ないのだ。

  そして、16時過ぎ。
  恥ずかしいのを敢えて書こうと思う。
  事実だから。

  私は、またトイレに行こうとふらふらと起き上がった。

  と、足のあいだから、温かいものがツーッと流れた。
  量なんて、本当にごくごくわずかだったのだが。

  トイレに。
  ・・・・・・。
  間に合わなかったのだ・・・・。

  そのときの気持ちをどう書いたらよいのか?
  無念・・・・。

  悔しい?

  もう、自分で自分の身体をコントロールできなくなっているのが
  分かって、それで、ここ何日も抵抗し続けていたと思うのだが、
  私は、ここで、諦めの境地に入っていったように思う。
  ただただ、どうしようもないことだけが分かった。

  そして、私は彼の亡くなった祖母に謝り始めていた。
    「こんなんじゃ、彼の奥さんにはふさわしくないです。」
    「どうしてだろう。情けない・・・。」
  そんなことを口にしていた。
  私の祖母にも謝った。こちらの祖母も亡くなっているのだが。
    「ごめんなさい。せっかく・・・。」
  そして、私の母にも。
    「親不孝ばかりで、本当にごめんなさい。」

  トイレに行っても、不都合を感じるような状態だったのに、
  このときは不思議と、涙が流れて止まらなかった。
  ただただ、みんなに謝っていた。

  それから大分、経ったのだろうか?
  彼が帰宅する。
  22時?時刻は不明。
  もう、この辺りからは、呼吸が苦しくなってきていた。
  吸っても、吸っても、身体は反応していないという感じ。
  この日、何度目だろう。
  トイレに行って、私は決心する。

    「救急車、呼んでくれないかなぁ・・・。」

  呼んでもらうと、少し楽になったような気がした。
  夏バテで救急車なんて、恥ずかしいと思ったけれど、
  彼も家にいるより、病院のほうが安心だと言ってくれた。

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  ここから少し、不謹慎なことを書いています。
  本当に、今なら、こんな風に思ったりはできないと思う。
  でも、このときは、例えば健康な人が、病気の人に、
  「病気で休めて羨ましい。」と言うのと同じレベルで、
  自分に起きた出来事を、楽しむ余裕すらあったのだと思う。
  そういう意味でも、私に起きたこの出来事というのは
  この時点では、全く予知しうるものではなかったのだと確信している。
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  いそいそと着替えを詰めたりして、私はシャワーを浴びたいなどと言った。
  でも、今日は無理でも明日、浴びれるかなと思っていた。
   (実際はシャワーを浴びられるのは、それから1週間後のこと。)
  この日、この瞬間が一番元気があったように思う。

  このとき、二人とも、すぐに帰ってこれると信じていたのだ。
  また、今までとおんなじ生活が続いていくだろうことも。
  何も疑う余地なんて、まるで無かったように思う。

  救急車が到着する音がして、私はこちらから出向いていこうとした。
  エレベーターでここまで来てもらうのは、申し訳ないように思った。
  靴を履いて、歩こうとするも。

  自力では歩くことすら出来なくなっていた。
  彼氏に支えてもらいながら、私は降りていった。
  エレベーターのところで、救急隊の人が何号室かの問い合わせの電話をしていた。

    「xxx号室のですか?」

  私は他の部屋の人も救急車を呼んだのではないかと思った。

    「xxx号室?」「私です。」みたいな会話。

  ここで、ガラガラと音のする、ストレッチャーに寝そべる。
  初めてだったので、ワクワクしていた。

    「初めて乗るんです。」

  彼氏にも「初☆救急車だ!」とか言って。
  私は明らかにはしゃいでいたはずだ。

  搬送先は仕事帰りにも寄れる場所にして欲しいと言った。
  最初は、昨日の職場近くの病院に、と言ったような気がする。
  そこは遠いので、近場でお願いする。

  だって、後から通えないと困るじゃない。

  そして、どういう状況だったのか、説明を始める。
  ここに至るまでにもらった薬は全部、持ってきていた。

    「最初は胃がもたれて・・・・、で、呼吸が苦しくなりました。」

  全部、自分で話した。私は意識があったから。

  でも、後日、彼氏に聞くと、つじつまの合わない話だったようだ。
  意識はあっても、意識障害という状態だったよう。

  救急隊員の所見にも「意識障害」と書かれていたのを後で知る。

  搬送された病院では、何を?
  血液採取と、尿と。あとは体重を測った。
  ものすごく減っていて、嬉しかった。
   (本当に、何も知らないって、幸せなこと。)

  そこで、血糖値が546mg/dlを超えていて、
  血中のカリウムが9(単位は不明)と言われる。
    「10に達すると、心臓が止まるんですよ。」
  当直の若い先生は言った。
   「あと一歩遅ければ、心臓が止まっていました。」

  この時点でも、これが一体何を意味するかなんて、
  まるで理解していなかった。
  塩っぱいものがあんなに美味しかったのは、
  ナトリウムが欲しかったのだね。
  今だから、わかる。

  私の腕には点滴の管がつながれ、
  この日は、このままこの病院に泊まって、
  明日、また別の病院に搬送すると言う。
  私は懲りずにまた、例の職場近くの病院にして欲しいと言う。
  先生は了承してくれた。
  彼氏は「明日、搬送する前に連絡を下さい。」と言い、
  深夜、一人帰って行った。

  私はここにきて、ようやく安心して眠ったように思う。

もうちょっと続く・・・・・・。

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 2005年10月2日。追記。
   この続きは、
   ( リンク先参照 → 「 1型糖尿病発覚前(去年のこと)☆その4最後。ありがとう。 」 )
   この前は、
   ( リンク先参照 → 「 1型糖尿病発覚前(去年のこと)☆その2 」 )
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コメント 6

佳代

>体重を測った。
ものすごく減っていて、嬉しかった。

(号泣)
    嬉しくないよ。

    大変だったね。

    がんばったね。

    かものはしちゃん、

    .....(号号泣)だよ。。。。
by 佳代 (2005-08-18 03:09) 

かものはし

Dear 佳代
 ブログ読んでくれて、ありがとう。
 あの日のことを、こうやって
 誰かに伝える機会を貰えて、嬉しいです。
 体重は、入院して5日目くらいで、あっという間に
 戻ったの。その辺もまた書きたいと思います。
by かものはし (2005-08-19 21:04) 

裏ボスRisa

お久しぶりです。
縁がある人とはタイミングよくつながるんだなぁ~!と感じました(^^)

Blog見ました。
そんな大変な状況だったのね。
医者の知識の無さに怒りがこみ上げてきます…。
by 裏ボスRisa (2005-08-24 16:55) 

かものはし

Dear 裏ボスRisa
 本当にねぇ~。
 電話しなさいってお告げだったのだわ!・・・なんちて。
 これからもヨロシクね。

> 医者の知識の無さに怒りがこみ上げてきます…。
 うん。でも、1型糖尿病は本当に知名度がなくて。
 もう少し子供で、小児科に行っていたら。
 もう少し大人で、見るからに(失礼!)・・・だと、それはそれで。
 その狭間にいた私は非常に発見されにくいとのことでした。
 私は救急車で運ばれて、無事?原因が判明したけれど、
 中には、そこでも発見されなくて、
 残念ながら亡くなる方も少なくないようです。
 そういうのは、病院の過失とはならないのでしょうか?
 それと、会社の健康診断の内診のお医者さん、
 全く1型糖尿病を理解していなかったよ・・・。
 トンチンカン(頓珍漢と書くらしい。)なことばかり言われて、
 もちろん、みんながみんなとは言わないけれど。
 信用なりません。
by かものはし (2005-08-25 21:19) 

くぼ

blog 読みました。
あなたの思ってた事をみて、なんか近づけた・・・。
そんな気がします。

そして。
医療関係者の一員として、私も劇症型DMを話を聞くまで理解していなかった。
反省しています。

話を聞いてすぐ劇症型DMの勉強会があって、もちろん参加しました。
まわりの人も先輩もみんなで参加しました。
Ⅰ型・Ⅱ型があって、その違いも理解していましたが、劇症型は知らなかったのです。
あなたにきっかけをつくってもらえましたね。
ありがとう。

・・・・。
なんかいつものあたしじゃないみたいでしょ??
by くぼ (2005-08-28 09:43) 

かものはし

Dear くぼ
 くぼ~。。。
 ううん。コメントしてくれて、本当にありがとう。
 せめて身近な人にだけでも理解してもらえたら・・・
 というのは私の願いでもあります。
 そういう気持ちを少しでも汲んでもらえた気がして。
 嬉しいです。
by かものはし (2005-09-01 22:07) 

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