くらし [お気に入り(言葉)]
「お気に入り(言葉)」。第5弾。
「くらし」
食わずには生きてゆけない。
メシを
野菜を
肉を
空気を
光を
水を
親を
きょうだいを
師を
金もこころも
食わずには生きてこれなかった。
ふくれた腹をかかえ
口をぬぐえば
台所に散らばっている
にんじんのしっぽ
鳥の骨
父のはらわた
四十の日暮れ
私の目にはじめてあふれる獣の涙
石垣りん
(『表札など』)
第4弾の茨木さんの詩集と併せて持っていた詩華集『空をかついで』。
茨木さんの詩を紹介したので、石垣さんの詩も是非、と思い立ち。
この「くらし」という詩は昔、国語の教科書に載っていたのですが、
当時の私(中学生か高校生)は、本来の意味を図りかねていたように思います。
今はね、少しだけ分かったような気持ち・・・、でしょうか。
少なくとも、
「あのときは何にもわかっていなかったなぁ~。」
と、いうことが分かって、
これから先も、
「『あのときは・・・。』って、ことが続いていくんだなぁ~。」
と、いうことだけは分かるようになりました。
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